<5>

　

　シャワーを終え、パジャマを着込んで再びベッドにもぐり込む。
　雨音が全てを吸い込んでしまったかのような優しい沈黙が、二人の間に降りていた。
　シーツに散った出血に驚き、どうやって言い訳をしようかと二人して狼狽えてしまったものの、カトルの体にも心にもヒイロの危惧していたようなダメージはない。
　だが日ごろの激務のせいで疲れきっているのだろう。
　布地ごしの心地よい安らぎに包まれて、カトルはすぐに小さな寝息をたて始めた。
　薄い胸元は規則正しく上下しまるで何事もなかったかのよう。
　ただ首筋に残された薄紅い鬱血だけが、二人で駆け抜けた熱い時間を静かに物語る。
　枕のうえに散らばったカトルの白金髪を指で玩びながら、ヒイロは子供のようにあどけないカトルの寝顔に見入っていた。

　あの時聞き逃したはずのカトルの言葉が、今になってようやくヒイロの意識に辿り着く。
　「愛している」という、その一言。
　獣と化したようなヒイロの行為を受け入れながら、カトルはそう言ったのだ。
　互いの欲望を受け入れることで、悦びと喜びが交互に生まれる。
　それは、おそらく愛する者とでなければ決して得られない充実感だ。 もう、自分の欲望を隠す必要もない。
　ヒイロはカトルを抱き寄せるようにしてそっと目を閉じた。
　唯一の、そして初めて手にした温もりを抱いたまま、ヒイロもまた眠りにおちていく。
　「愛している」と唇の形だけでカトルに囁きながら。

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<あとがきめいたもの>

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イベントあわせでばたばたと発行したものだったのでかなり手直しがはいりました。
４以降のアップに時間がかかったのはそういう訳です。再版してるのでそのときも一度推敲したんですけどね。
元が結構ラフだったため、本格的に直すと全く別の文章になりそうなのでまあそのあたりは適当に（苦笑）
Ｈをどの程度具体的に書くかがいつも悩みどころなのですが、
今回はヒイロ視点、しかも彼はまったく余裕のない状態…ということで、駆け足で通り抜けました。
このあたりが無難な線かも。
それにしてもヒイロが経営担当…設定に無理があるのは承知の上です(爆)。
そしていつもHを書くたび思うのですが。
この年になっていまだHに夢を見てるのかっ？！？自分っ！(大爆笑）

話は変わって。
オフラインでは一度発行してしまえばもう二度と文章を変えることができません。
何度も読み返して納得したはずなのに製本した本を見て身悶え(？)することもしばしば。
その点、ネット小説では後ですぐ変えることが出来ます。
結構どれもあとからいじってるんですよ。この話も４・５アップと同時に少々……。
最初にアップしたときそのままの小説は少ないんじゃないかな？
他所のサイトの管理人様はいったいどうされているのか、ちょっぴり気になる私です。